NORIKO YANAGISAWA

美術家・版画家 柳澤紀子

柳澤紀子版画作品展 展覧会レポート

中国杭州市の浙江美術館で3月1日、「浙江・静岡県文化芸術交流 柳澤紀子版画展」が開幕した。静岡県と浙江省は本年で友好提携37周年を迎え、今回の展覧会は芸術文化分野での交流事業で芸術交流において両県省の交流は初の試み。浙江省の省都杭州は、中国六大古都の一つで文化芸術が活発だった南宋時代の首都。そのため古くから中国美術の中心地的役割を担っている。西湖畔にある浙江美術館は今年で創立10周年を迎える。同館での現代アーティストの個展は珍しく、日本人アーティストの個展が開かれるのは初めてだ。

作品を来賓に説明

ギャラリートーク

展覧会の様子

 きっかけは友好提携35周年の記念イベントで訪日した浙江美術館応副館長が柳澤さんを訪ねたことだ。実は2015年に上海中華藝術宮で開催された「第三回上海国際版画展」を開催した際の図録を見て応副館長が作品に興味を示したのがはじまりだった。銅版画の作品に寓話的であり東洋的な魅力を感じて興味を持ったという。

2016年に上海半島美術館で個展も好評をだった柳澤さんには中国でも固定ファンが少なくない。前回の展示との違いを聞いたところ、今回は特に、杭州には世界遺産に指定された西湖があり、故郷浜松の浜名湖があり、そこから「湖水」のイメージを強く持ったという。

 柳沢さんは、「私の作品には浜名湖から着想を得た作品『水邊の庭』や詩人岡田隆彦と制作した詩画集『海へ』などがあります。詩画集というのは絵と詩の両方があって成り立つものですが、中国の水墨画を見て漢詩と絵の組み合わせに共通点を感じました。ですから今回は是非私の唯一つの詩画集である「海へ」を展示したかった」という。

張遠帆氏と

今回の展覧会のキュレーターは中国美術学院の張遠帆教授。同教授は東京芸大留学経験もあって、日本語が流暢な上、日本の芸術文化に大変精通しており、これまで何度も日中の交流展のキュレーションをしてきた。開幕式の同教授のスピーチの中で、自分は柳澤さんとはご縁を感じていたという。初めてお会いしたときに、お互い芸大で版画を学んだということ、そして私は柳澤さんより一回り年下になり、柳澤さんの同級生の野田哲也先生は留学時代の恩師であること。そしてともに湖のある歴史ある街で暮らしていること、ことなどたくさんの共通点があり、とても親近感を得たという。
会場には詩画集に描かれている詩と翻訳された中国語の説明文を読み比べ、頷く来場者の姿があちこちで見られた。

開会式

柳澤ご夫妻

楽しそうに見る二人

子ども連れ

開催が決まってからの道のりは、平坦ではなかったときく。しかしそれに対して柳澤さんは「いいのよ、そんなのは小さいこと。それより大切なのはこれからも静岡と浙江の文化交流、日本と中国の文化交流を益々盛んにさせて私よりもっと若い世代の人たちがお互いの文化に触れわかり合える機会を多く作っていくということ。今回の展示がその一つのきっかけになれば私はそれでもう十分よ。」と、来年80歳を迎える柳澤さんは楽しそうに話す。

会場には初期の版画作品の代表作の「聖」(1964)から3.11以前に作られた反核をテーマにした作品「test-zone」(核実験場)。注目は最新作の「動物のことば・ニガヨモギから」は今回の浙江美術館の展示に合わせて制作した最新シリーズで日本未発表の作品という。

会場には瀧昌光静岡県立美術館副館長や、多くの地元杭州にある中国の美術の名門校中国美術学院の学生や、日本からも柳澤氏ファンの旅行団が和服姿で出席。また本展覧会に浙江省文化観光庁長官で褚子育党書記による白居易と石山丈山の詩句に想を得た祝賀文が寄せられた。胡剛・浙江省人民政府外事弁副所長の「湖山相映・友誼相連」という挨拶で始まった祝典では、上海総領事館の福田高幹広報文化部長から総領事館を代表して祝辞、石井亘静岡県代表事務所所長からは川勝平太知事の祝辞を代読した。
記念撮影
収蔵贈答式

柳澤紀子版画作品展 
2019年2月28日−3月19日
浙江省美術館 第四・五展示室
美術館所在地 中国浙江省杭州市南山路138号 

主管 浙江省文化和旅游庁
主催 浙江美術館
後援 静岡県
協力 中国森山健康小鎮 牛頓基金会

メディアに紹介されました


中日新聞(2019.3.15)


朝日新聞(2019.3.19)


静岡新聞(2019.3.8)